モントリヒト城の吸血鬼①~ヴァンパイアの花嫁~
「…。よかった、傷、
ちゃんとふさがってるみたい。
銀でついた傷は治りにくいって
凍夜が言ってたから、少し心配したの。
…痛い思いをさせてごめんなさい。」

夕べ、怪我をさせたことを
心配していたらしい。

というか、凍夜はまた余計なことを
吹き込んだようだ。

「…。どちらにしても、この程度の
傷でこの僕が痛がることなど
あり得ない。
変に心配する必要はありません。」

ふてくされた顔で、そういえば、
姫乃はこらえきれない、と
いうように笑い出した。

「…何がおかしいのです。」

ムッとしてきけば、よく似た
兄弟だわ、と姫乃は笑い続けた。
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