小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「ちょ、良ちゃん! 置いてかないでよ!!」
あたしが自転車の側で待ってたのに、良ちゃんはひとりだけ自転車にまたがって圭を追って走らせた。
「ねぇ! 良ちゃんってば!!」
あたしは、背中に背負ったスクールバックの持ち手を持って、スカートをなびかせて走る。
「待て~! 圭~!」
良ちゃんは立ちながら自転車をこいで、どんどんスピードを上げていく。
あたしは完全に置いてかれないように、両手を激しく振ってふたりのあとを追いかけた。
さっきアイスを食べて体温を下げたはずなのに、少し走っただけで体の中が燃えそうな程熱くなってくる。
全身で熱を放出し、額や首筋を大量の汗が流れていく。
こめかみから頬に伝った汗が、あたしの横髪を濡らした。