小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
3人の気持ち
良ちゃんが言っていた通り、台風は徐々に近づいていた。
教室の窓からグレーの空を見上げると、雲の動きがいつもより速くなっている。
所々黒い雲も混じっていて、今にも雨が降り出しそうだ。
「台風、また直撃しそう?」
隣で一緒に不気味な空を見上げる良ちゃんに聞いた。
「ちょっと逸れてたけど、でも強風域の中には入ってたよ」
「マジで?」
「明日の明け方くらいが一番強いかもね」
ガジュマルの木の枝が、激しく吹く風にいじめられている。
ここから見える海も、いつもは美しいサファイアブルーなのに、近づく台風のせいで濁った色になり、大きな波の音を立てていた。