小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「明日、補習休みだったらまず圭んとこに先生から連絡いくから。歌恋は、ちゃんと大人しく家で待機しててよ」
圭と途中で別れたあと、家の前まで送ってくれた良ちゃんが、子供に言い聞かせるように、何度もあたしに言った。
「もうっ! 何回目?わかってるよ、子供じゃないんだから。休みになるかならないかのレベルくらいちゃんとわかるし」
門の前でため息交じりに言う。
「それに、あたしは良ちゃんが窓の外から名前を呼んでくれなきゃ家からは出ないから」
ニヒヒと笑いながら言うと、「たまには、僕んちまで歩いてきたらどう?」と良ちゃんが呆れて大きく息を吐いた。
「良ちゃんも気をつけて帰ってね」
「僕は誰かさんと違って、飛ばされそうになったりしませんよ~」
良ちゃんが意地悪に目を細めながら見てくる。
その瞬間、ポツリとあたしの頬に一粒の雫が落ちてきた。
「うっそ、雨!?」
良ちゃんが「ヤベっ」と、空を見上げる。