小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「じゃね、歌恋!」
自転車にまたがった良ちゃんは、雨が降り出す前に帰りつこうと、シャっと自転車を走らせた。
向かい風を受け、良ちゃんの白いシャツの背中がフワっとふくれ、まるでパラシュートのようだ。
普段の倍は力をこめて自転車を漕いでいて、華奢な良ちゃんには少し辛そうだった。
翌日。
少し逸れると思っていた台風は、K島へ向け進行方向を変えていた。
進む速さもゆっくりしていて、昼過ぎに上陸するとニュースで言っている。
あたしは自分の部屋の机に座りながら、ラジオで情報を収集。
閉めた雨戸は、強風に揺らされたり激しい雨がぶつかったりで、大きな音を立てていた。