小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「ちょっ、電波ないとかあり得ない!!」
上陸間近の台風のせいか、携帯のつながりが悪くなった。
あたしは、仰向けのまま右手を高く上げ、携帯を振ってみたり、左右に動かし電波を探した。
その時。
「うわっ!! った!!」
突然携帯が鳴りだし、びっくりした反動で携帯がスルリと手から滑り落ち、あたしの顔面に落下してきた。
鼻を強打したあたしは、顔面全体を両手で覆い悶絶する。
あたしの痛さなんて知らない携帯が、枕元で陽気な音で踊りキラキラと7色に輝いていた。
目に涙をためながら画面を開いてみると、“着信良ちゃん”の文字が。
「もしもし! もうっ! 良ちゃんのせいで鼻がもげ……」
「歌恋! 圭が!」
あたしが今泣いているのは良ちゃんのせいだと文句を言ってやろうとしたら、電話の向こうの良ちゃんが慌てていたので、途中で言葉を飲み込んだ。