小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
あたしは、良ちゃんの言葉を最後まで聞かずに携帯を切って階段を駆け降りた。
「お、お母さん!!」
「こらっ! あんたって子は、毎日毎日うるさいん……」
「車出して!!」
あたしはリビングに滑り込んだと同時に、キッチンに立つお母さんの腕を掴んで大声を出した。
料理の最中だったお母さんは、あたしのおかしな行動に眉を寄せる。
「あんた何考えてんの? こんな状況で車が出せるわけないでしょ? 外を見てみなさいよ」
うっとうしそうに言うお母さんは、フライパンで野菜を炒めがら顎で窓を指した。
雨戸が閉めてある窓は真っ暗で外の様子なんて全く見えないけど、徐々に激しくなっていく風の音で想像はつく。