小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


男性アナウンサーは白い合羽を着ていて、激しい風に吹き飛ばされないよう踏ん張りながら“風が非常に強くて危険な状態”と報道している。


波しぶきが上がり、雨も横なぐりだ。


危険なのはわかってる。


でも、この風がおさまるのを待ってたら圭がどうなるかわかんない。


「お母さんお願い! 病院まで連れてって!!」


何度も何度もお母さんにお願いをすると、不安ながらも頭を縦に振ってくれた。


玄関のドアにも雨が叩きつけていて、ドアを押すのに力が入り体重をかけて押しあける。


その瞬間に、雨が鋭い矢のようにあたしの体に突き刺さった。




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