小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


やっとの思いで病院に到着し、あたしはお母さんに先に帰っててと言って車から降りた。


車から降りて病院の入り口まで2、3歩走っただけなのに、頭から大量にかぶった雨がポタポタと垂れ、目に入る。


病院の自動ドアを抜け、受付に急ぐ。


「あの、ケガした男の子はどこにいますか?」


受付に座っていた女性に早口で言うと、女性は一瞬目をパチクリさせた。


「今、ケガをして男の子が来ましたよね!? 圭です! 赫圭!!」


あたしが名前を出すと、女性は「あ~」と笑みを見せた。


「その子なら診察室2で今……あ、ちょっ!!」


“診察室2”。


女性の言葉を最後まで聞かずに走りだすと、また前髪から雫が落ちてきた。


受付のふたつ隣の部屋が、“診察室2”。


ガラガラっと大きな音を響かせドアを横に引く。


そこにいたのは……。



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