小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「あの圭でも体が動かないってこともあるんだね。何でもパーフェクトなヤツだと思ってたけど、これでからかえる要素が見つかったね」
嬉しそうに言う良ちゃんは、窓の外を見て片方の眉をクイっと下げた。
「うわー……これひどいね。台風収まるまで病院から出れないかも」
口をへの字に曲げ、もう一度肩をすくめる。
なんか良ちゃん、空元気のような気がするけど……気のせい?
先に診察室に向け歩き出した良ちゃんが、自販機の前から動かないあたしを振り返って困ったように笑った。
「なに? もしかして、それじゃなくて他のがよかったの?」
あたしは、手に収まるピンク色の紙パックを見て、ブンブンと首を横に振った。
「ううん! これ大好きだし、これじゃなきゃ嫌だ」