小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


あたし達は花火を見る為に、神社の近くの海岸に移動した。


人の多い神社では、せっかくの花火をゆっくり楽しめないから。


砂浜に足をとられ、下駄をはいていると上手く歩けない。


それに、砂が下駄と足の隙間に入ってきて気持ち悪いし……。


「歌……」


「歌恋!」


みんなの輪から後れを取ってヨロヨロ歩いていると、数歩先を歩く圭と良ちゃんが同時にあたしを振り返った。


良ちゃんが、あたしの隣にサッと走ってくる。


あたしの名前を呼びかけた圭は、良ちゃんがあたしの隣に来るのを見ると、真顔でクルリと踵を返し、先を行くみんなのあとを追って歩き出した。




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