小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「歌恋、歩きにくいでしょ? 僕の服でも掴んで歩きなよ」
そう言って、良ちゃんは自分の仁平の袖を指差す。
「あ、うん、ありがと」
あたしは良ちゃんにお礼を言いながら、目線は圭の背中に。
「ねぇ、良ちゃん」
「ん?」
「圭、なんか怒ってるのかな?」
良ちゃんの袖を掴んで聞くと、良ちゃんは「え?」とあたしを見てから圭に視線を向けた。
「まぁ……色々と複雑な年頃なんだろうね」
良ちゃんが、声のトーンを落として言う。
「どういうこと? なんかあったの?」
あたしが眉を寄せて良ちゃんを見ると、良ちゃんはとても真剣な表情をして圭の背中をジーッと見ていた。
良ちゃん……?