小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
夜空をいくつもの花火が埋め尽くし、あたしを見つめる圭の顔をはっきりと照らし出す。
その瞬間。
フッ……。
圭が、目を細めて口角を上げた。
圭はポーっと見惚れるあたしに、花火を見ろとクイっと顎で空を指す。
ハッとしたあたしは、堂々と圭を見つめていたことに焦り、慌てて花火を見上げた。
でも、瞬きを細かく繰り返すだけで、花火なんて瞳に映らなかった。
最後にどんな花火で祭りが締めくくられたのかも、全く覚えていない。
あたしの目には、さっきの圭の優しい微笑みが焼きつき、離れなかったから……。
17歳。
背後からの穏やかな波の音と、島中を包み込む花火の音と。
純粋な恋の、夏の思い出。