小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「圭のお母……」
「うわ~! まただ~っ!!」
先生の言葉を2度も遮った良ちゃん。
「もう~、この虫僕のことが好きなのかな~。モテる男は辛いよね~、本当」
顔の前で両手をブンブン振って虫を追い払う良ちゃんが、引きつる笑顔を浮かべた。
なんか、怪しい。
なんか隠してるでしょ。
「良久! 歌恋ちゃん!」
ガラガラっと前のドアが開いて勢いよく現れたのは、息を切らし目を丸めた海だ。
「圭のお母さんが倒れたって本当!?」
……え?
おばさんが、倒れた……?
「……ったく、海はまた余計なことを」
左隣の良ちゃんを見ると、机に両肘をたてて頭を抱え、首を振っている。
「良ちゃん、どういうこと? 良ちゃんは知っててあたしに隠してたの? 今のメール? どうして教えてくれなかったの?」
早口でまくし立てる。