小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
昨日、おばさんから熱が上がるかもって聞いた時、早く圭を呼びに行くべきだったんだ。
そうしたら早く対処できて、肺炎にならずに済んだのかもしれない。
圭の家を訪ねておきながら、おばさんをひとり残してあのまま帰るなんて……。
あたしのせいだ!
――ガタン!
あたしは授業どころじゃなくなり、勢いよく席を立った。
病院に行って、おばさんの姿を見たい。
おばさんの声を聞いて、安心したい!
席を立って教室を走り出ようとしたら、突然良ちゃんに手首を掴まれた。
椅子に座ったままあたしの手首を掴む良ちゃんを見下ろす。
「ダメだよ」
良ちゃんは奥二重の目をキュっと細め、眉間に力を入れて鋭い視線であたしを見る。
「行ったらダメだ」