小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
でも、良ちゃんの言う通り、取りみだしたまま病院に行っても迷惑がかかるだけだ。
あたしが行って何かできるわけじゃない。
放課後まで、待つしかないのかな……。
「海、教室に戻れ。放課後、ガジュマルの木の下に集合ね」
良ちゃんは、お兄ちゃんのように海に言った。
渋々教室に戻って行く海を見届けてから、あたしにも「座れ」と言う。
たまに、良ちゃんは頼れる男になる。
いざという時、誰よりも冷静で、誰よりも判断力があって。
長い間一緒にいるのに、圭と良ちゃんだけが成長していってる。
あたしなんて、ずっと子供のまま何も変わってない。
いつになったら、“大人”になれるんだろう……。