小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
稔くんも、今日は学校を休んだみたいだ。
夕方には、おばさんのことが学校中に知れ渡り、放課後、あたし達は13人で病院に向かった。
ふたりとも学校を休むなんて、相当酷いのかな、おばさんの体調……。
そーっと病室のドアを開けると、パイプ椅子に座る稔くんと圭の背中が見えた。
音に反応したふたりが、同時に振り返る。
すると、すぐに圭の眉間にシワが寄り首を振って項垂れた。
「僕じゃないよ」
圭の動きで何かを察した良ちゃんが、目を細めて隣にいる海を睨みつけた。
「僕は隠そうとしたのに、海が大声で歌恋にバラしたんだ」
「はっ!? 俺のせい?」
海が自分を指差し少し顎を突き出す。
病院だから小声で叫んだようだったけど、良ちゃんに静かにしろと頭を一発叩かれ、海は頭を大袈裟にさすった。
兄弟喧嘩を始めた良ちゃんと海は放っておき、圭と稔くんの隙間からベッドに横になるおばさんを覗き込む。
一歩一歩ゆっくり病室に足を進めると、静かに寝息を立てるおばさんの姿がはっきりと見えた。
顔色が良くて、安堵のため息をつく。