小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「今、結構落ち着いてる」
圭の小声がかすれている。
狭い個室に15人が集まり、空気が一気に熱くなった。
「熱も下がったし、しばらく入院して様子をみて、問題なければ退院できるって」
圭が言うと、心配で強張っていたみんなの表情に笑みが戻っていく。
「よかった」
大きく息を吐いて言うと、圭が呆れたようにフッと笑った。
「変わんねぇな、おまえ」
ポケットに両手を突っ込み、下を向きながらクククっと笑う圭。
……う。そんなに笑わなくてもいいじゃん。
その辺は自分でもよくわかってるよ。
変わってないのは、あたしだけだって。
どうせあたしは、パニックになると周りが見えなくなって、突っ走って事故るタイプですよーだ。
あたしは、声を押さえて笑い続ける圭を睨みつけ、口を尖らせる。
「でもまぁ、心配してくれてありがとな」
ふて腐れるあたしに、圭が優しく微笑みながら言った。