小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「さぁ、安心したところで、僕達は次に進まないといけないよ」
そう言って、良ちゃんは自分の机に置いてあるスクールバックの中からA4サイズの紙を取り出した。
「なに? それ」
あたしが聞くと、良ちゃんはA4の紙を圭の机の上に置いた。
あたしは隣からその紙を覗き込む。
「秋祭りのリーダー決めだよ」
ああ、そうか。もうそんな時期か……。
“秋祭り”は、この島の伝統行事。
毎年10月に、大きな広場に島民が集まり、色々な催しを行う。
その中の一つに、高校3年生が主役になる舞いがあるんだ。
卒業して島を出て行く前に、鬼の面をかぶり舞台の上で舞いをすることになっている。