小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
おじいさんはかすれた声で笑い、段ボールの中から真っ赤な着物を取り出した。
襟の部分は2重になっていて、薄い黄緑色の布地が見えている。
帯も、襟部分と同じ薄い黄緑色。
赤い鬼の面に、真っ赤な着物なんて……。
ますます不気味。
「リーダーは、キミだね? 赫圭くん」
「はい」
圭は、おじいさんに柔らかく微笑み返事をした。
「リーダーは祭りの準備やら何やらで少し大変だけど、頑張ってね」
「覚悟してます」
圭が細かく頷きながら言うと、おじいさんはまたかすれた声で笑った。
「じゃあ、早速練習してみようか。まぁ、毎年やってることだからもうわかってると思うけど」
おじいさんは畳の中心に移動すると、「見ててね」と言って大きく息を吐き、気持ちを落ち着かせていた。
あたし達3人も、静かにおじいさんに注目する。