小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
離れていく心
勉強をしながら、秋祭りの練習は続いた。
週に2回の練習だといっても、不器用なあたしにとっては、結構大変。
太鼓とホラ貝のゆっくりとしたテンポに体を合わせるのは、かなりの筋力を使うし、何と言っても、鬼の面の狭い視界に慣れないといけない。
圭や良ちゃんのように何でもうまくやりこなす人が羨ましい。
あと半月後には本番を迎えるというのに、あたしだけ上達してない気がする。
今日は、5回目の練習の日で、あたし達は放課後の教室で公民館に向かう準備を急いでいた。
その時……。
突然、圭の携帯が机の上で振動し出した。
あたしはスクールバックに教科書や筆箱を入れながら、横目で圭の携帯を見る。
「あー、もしもし?」
圭はスクールバックを肩にかけ、席を立ちながら携帯に出た。