小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「ったく、海のヤツ。高2にもなって考えがガキっつーか、なんつーか。っとに、アイツは」
圭が海の消えたドアを見て、フっと笑う。
「でも、みんなを笑顔にしようとちゃんと頑張ってるから偉いよね」
良ちゃんは自席に座って数学の教科書を出し「それに」と言葉を続け圭を見上げた。
「その思いに答えようとする圭もおっとこまえー!
ねぇ? 歌恋」
「え? ああ、う、うん! さすが圭」
圭に見惚れてる最中に良ちゃんに話しかけられ、あたしはドギマギしながら圭に向けて親指を立てる。
だけど、圭と目が合うとまた心臓が暴れ出し、あたしはすぐにぎこちなく目を逸らして、唇を噛みながら良ちゃんと同じように数学の教科書を手に取った。