小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


「歌恋。圭が昔好きだったお菓子覚えてる?」


放課後、まだ振り続ける雨の中、ゴマ畑の道を傘をさして歩きながら良ちゃんが言った。


あたしは隣の良ちゃんに目を向け、昔の記憶を呼び起こす。


「えー? なんかあったっけ?」


「あったじゃん! 小学校ん時、遠足に必ず持ってきてたヤツ」


圭が遠足に持ってきてたお菓子……。


「あー、何だっけ! 紫色の袋のヤツで……」


懐かしい思い出が一気に戻ってきて、一瞬頭がパンクしそうになった。


黒髪だけど、今と同じように襟足が少し長くて。


パッチリの目がクリクリと愛らしいけど、性格は今と変わらずちょっとクールな子供の圭。


あたしの瞼の裏で、小学4年生くらいの幼い圭が、その袋を持って頬張っている。



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