小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


……思い出した!


「「 パチパチあめ!!」」


良ちゃんと声が重なる。


綿菓子の中に小さく砕けた飴が入っていて、その飴が口の中でパチパチとはじける50円のお菓子。


口で飴が弾ける瞬間はとても痛いんだけど、その痛さが癖になって小学生の時に流行ったお菓子だ。


「圭さ、あれ食べるとなんか元気が出るって言ってたよね。
覚えてる?」


良ちゃんが笑いながら言う。


「覚えてるよ。あれ3つくらい買ってたよね」


「買ってた買ってた! んで、僕達がちょうだいって言っても、それだけは絶対にくれなかったもんね」


「あー、なんか懐かしいなぁ。あたし達にも、そんな可愛い時期があったんだよね~」


あたしが思いにふけながら言うと、良ちゃんは「おばさんみたいなこと言うね」と鼻で笑った。


もうすぐ10月になる風が、前から吹いてきてあたし達の汗を拭っていく。



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