小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


良ちゃんは、校舎裏の古いベンチに座って前かがみになっていた。


そっと近付いて、良ちゃんの隣に座る。


水色のペンキのはがれた古いベンチが、ふたり分の体重を苦しそうに支えている。


「良ちゃん、いきなりどうしたの? さっきまでの良ちゃんと全然違うじゃん」


あたしが言うと、良ちゃんはため息をついて体を起こした。


良ちゃんの体が動くと、ギシギシとベンチが鈍い音を立てる。


「歌恋は悔しくないの?」


「……え?」


良ちゃんの横顔が切ない。


「圭、明らかになんかでっかいのを抱えてんのに、僕達に何にも話さないんだよ?」


「…………」


「おばさんの事だって、僕達に何の報告もしないってことは、今回、相当酷いんだと思う」


やっぱり、そうだよね……。


圭が言わないってことは、そういうことなんだよ……。


「何に気を使ってるのか知らないけど、何にも言ってくれない圭に、ちょっとショックだった」


……良ちゃん。



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