小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「さぁ、この前のテストを返すぞー」
あたし達の担任でもあり数学担当の伊藤先生が教室に入ってくる。
そして、あたしは絶叫。
「いやぁぁぁ! そうだった! 忘れてた!!」
頭を抱えると、あたしの右隣で良ちゃんがハハっと笑った。
「朝、僕が言ったのに」
「嫌なこと過ぎて忘れてたの!」
「どうしよう、良ちゃ~ん」と嘘泣きしながら言うと、良ちゃんはあたしに答える代りに豪快なくしゃみをした。
ズルズルと鼻をすする良ちゃん。
「今更泣いても遅いだろ、諦めろ」
左隣から、余裕な声がする。
いいよね、圭は元々頭がいいんだから。
あたしなんて、必死で勉強しても、一向にバカが治らないのに……誰か助けて。