小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
圭と良久
「歌恋(カレン)!」
ドタバタと学校へ行く用意をしていると、窓の外から良(りょう)ちゃんの元気な声が聞こえてきた。
その声にヤバっと顔を歪ませ、ベッドに膝を立て2階の自分の部屋の窓を開ける。
「すぐ行く!」
下を見て答えると、今日もいつものように自転車にまたがる良ちゃんが半ばあきれ顔であたしを見上げていた。
スクールバックを背中にリュックのようにして背負い、部屋を出る前にスタンドミラーで制服の赤いリボンを整える。
「うわ……寝不足かな~。目、全然開いてないし」
鏡に顔を近づけ、睡眠不足でダランと下に垂れた二重瞼を見る。
昨日の夜、ケータイ小説を夢中で読んじゃったからな……。
あたしは気合を入れる為に顔をパンパンと叩き、大きく目を見開いてから、セミロングの黒髪を2、3回手櫛でとく。
走って階段を駆け降りると、お父さんの朝食を用意していたお母さんがリビングから顔だけをのぞかせた。
「こらっ!! あんたって子は、毎朝毎朝飽きもせず寝坊しないの!!」