小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
圭や参列者の姿が消え、あの畳の部屋に、夏まつりの日のあたしとおばさんの姿がぼんやりと見えた。
『いつか女の子が生まれたら、将来この浴衣を着せて一緒にお祭りに行きたいな~って』
鏡越しにあたしを見て、おばさんがニッコリ微笑む。
『そしたら、ふたりとも男の子だったんですね』
あたしが言うと、おばさんは困ったように笑った。
『あら、やっぱり歌恋ちゃんには似合うわね』
鏡に映るあたしを見て、おばさんが嬉しそうに言う。
あたしの中の記憶が、瞳のスクリーンに映し出される。
おばさんの、白くて細くてキレイな手。
笑う時に、鼻のスジにシワが出来て。
圭とそっくりな二重の大きな目を、ダランと垂らして笑っている。
おばさんはいつだって、あたしを本当の娘のように接してくれてた。