小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
『またおばさんが着つけしてあげるからね』
『本当ですか?』
『もちろんよ。歌恋ちゃんは娘も同然でしょ? 娘に着つけするのはおばさんの夢なんだから、ずっとそれを叶えてよ』
……おばさん。
『また来年着られるように、きちんと浴衣取っておくからね』
……おばさん。
『また来年、必ず着せて下さいね』
徐々に目の前に、現実が戻ってくる。
限界だった。
何よりも、母親の死を前にしても一切涙を流さない圭を見ていて、心がとても痛かった。
「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
声の我慢が出来ずに、その場に崩れ落ちながら泣き叫んだ。
また、浴衣を着せてくれるって言ったのに。
約束したのに。
おばさんの夢は、あたしの夢だったのに……。
こんなのないよ……圭達家族から、お母さんを奪っていくなんて……。