小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


秋祭り当日。


今日は神様が味方してくれたのか、秋晴れの爽やかな朝だった。


冬の準備を始めた空は少し高く感じたけれど、太陽が島をキラキラに輝かせ、自然の緑や軽やかに波打つ波が祭りの気分を一層盛り上げてくれる。


午後2時から開催される祭りの準備に、朝からバタバタしていた。


午前中の早い時間に、良ちゃんと海岸近くに設置された屋外の会場に行き、舞台の前にパイプ椅子を並べていく。


あたし達がついた時には、舞台前に大きな器材も運び込まれていて頭上にいくつもの赤い提灯がぶら下がっていた。


この祭りは、あたし達の舞いだけではなく、島の伝統の踊りも披露される。


多くの参加者が集まり、リハーサルが始まった。


あたし達は自分たちのリハーサルを待つ間、忘れ物がないかを舞台横でチェックする。


「着物OK、お面OK。歌恋、舞いの順序はちゃんと頭に入ってる?」


リーダー良ちゃんの最後の確認が入る。


「はい、リーダー。完璧です」


あたしは良ちゃんに向かって敬礼で答え、肩をすくめて笑った。


「緊張して、転ばないようにね」


調子のいいあたしに、良ちゃんが眉を寄せて笑い、そして、準備の進められる客席に目を向けた。


圭、やっぱり、来なかったね……。




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