小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「歌恋」
隣であたしと同じようにみんなに手を振る良ちゃんが、静かに手を下ろし、あたしの名前を呼んだ。
あたしも振り終わった手を下ろし、良ちゃんに目を向ける。
「これが終わったらさ、なんか本当に“終わり”って感じがしない?」
良ちゃんはどこか遠くを見ている。
……“終わり”?
「この舞いを成功に終わらせて、こうやって集まってくれた島の人達に“出発”の準備は順調に終わってるって知らせてさ」
「……良ちゃん」
「歌恋」
良ちゃんが、フッと、遠くから隣のあたしに目を向ける。
「悔いの残らないような舞台にしようね」
真剣な顔で言った後、すぐに、いつものような女子力の高い笑顔になった。