小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「準備は出来たみたいだね」
舞台横で着物を着つけてもらい出番を待っていると、おじいさん先生が様子を見に来てくれた。
「きちんと様になってるじゃないか」
赤い着物を緩く羽織り黄緑色の帯でとめ、髪はサイドを編み込みすっきりとまとめたあたし達を見て、先生が優しく微笑む。
「先生、ご指導ありがとうございました」
良ちゃんが深く頭を下げた。
あたしも良ちゃんに続いて頭を下げる。
「今日、圭が来れなかったのは残念ですけど、僕達は3人でひとつのようなものだから、アイツの分まで、ふたりでやり遂げようと思います」
先生が、良ちゃんとあたしの肩に手を置く。
「キミ達の想いは、きっとあの子にも伝わってるはずだから」
あたし達の肩を掴む先生の手の強さが増す。
「精一杯、演技してきなさい。キミ達の成長を、ここに集まった島民に見せつけるんだ」
先生が眉を上げて微笑んだので、あたしと良ちゃんはお互い目を見合わせ大きく頷いた。