小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


さあ、いよいよ、本番だ。


あたし達の前のグループが終わり、拍手が起こった。


あたしは、鬼の面を胸に抱き、目を閉じ大きく息を吸う。


18年間育ったこの島で、初めての舞台披露。


先輩達から受け継いだ伝統の舞いを、みんなに見せる時が来たんだ。


島を出て行く前の、大切な儀式。


あたし達は、これから先のどんな困難にも打ち勝ち、負けじと突き進んでいきます。


進むべき道がわからなくなった時は、焦らずに自分と向き合い、どんなことも諦めずに自分を信じて道を作って行きます。


だから……あたし達の成長を、これからも、見守っていて下さい。


「歌恋」


良ちゃんの手が、あたしの肩に乗る。


あたしは目を開け、良ちゃんに微笑んだ。


「僕達にしかできない舞いを見せよう」


「うん」


サっと、手を前に出した良ちゃん。


その上に自分の手を重ね、舞台に上がる前に“ファイト!”と、気持ちを高めた。



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