小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


アナウンスが流れあたし達の紹介がされると、シンと静まり返った会場に和太鼓の音が響き渡った。


ゆっくり一定のテンポで響く太鼓の音に合わせて、心臓が高鳴る。


もう一度深呼吸をし、力強く目を開け、鬼の面をかぶった。


急に視界が暗くなり、一気に歩きづらくなる。


けれど、足元がおぼつか無くなることはなかった。


まずはあたしだけ舞台に上がり、わらで作った松明を左右に振りながら大きく体を動かす。


ゆっくりと、ゆっくりと。


低くどこまでも響くホラ貝の音と、会場の後方から響く波の音で、一気に別世界になる。


風が強く吹くと、あたしの振り回す松明から煙が流れ、客席のみんなへ降り注ぐ。


下手から上手へ舞いを終え、最後に松明から藁で作った山に火を付けて、更に煙を客席へ飛ばす。


次はリーダー良ちゃんの番だ。


あたしと同じようにゆっくり松明の煙を振りまきながら舞いをすると、客席から大きな拍手が沸き起こる。


良ちゃんがホラ貝の音に合わせて上手まで来ると、メラメラと燃えあがる藁の山に松明を投げ入れ、帯に刺していた太刀を抜き取った。




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