小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


あたし達の行動を見て、客席に座っていた人達の目線も後ろを向いた。


圭が、客席の後ろの方から、音楽に合わせ舞いをしながらこちらに向かっている。


あたし達と同じように赤い着物を羽織り、鬼の面をかぶって。


一歩一歩、しっかり地面に足を付けた力強い舞い。


少ししか練習をしていないのに、圭の舞いは完璧だった。


「圭~っ!!!!」


客席から、学校のみんなの歓声があがる。


目の前が、どんどん涙で歪んでいく。


けいれんする口元を押さえ、圭の立派な舞いを舞台の上から見ていた。


圭……来てくれたんだ……。


きっとまだ辛いのに、この日の為に必死で練習してくれたんだね。



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