小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「あれ? 圭は?」
舞台終了後の、空がうっすらと茜色に染まり始めた頃。
着用した着物や鬼の面を段ボールに入れて片付けをしていると、良ちゃんが辺りをキョロキョロし出した。
あれ……?
本当だ、圭がいない……。
あたしも、会場の片付けに入る人達の間をピョコピョコ飛び跳ねて探してみたけど、どこにも圭の姿は見当たらなかった。
「さっきまでいたのに……」
あたしは、首をキリンのようにグーッと伸ばしながら呟く。
「圭の着物はあるね。でも、鬼の面がないよ? どこに行ったんだろ」
段ボールの中に圭のお面がないことを確認した良ちゃんが、首を傾げた。
圭……何も言わずにいなくなるなんて……。