小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
もう会場から出たのかな……?
10月の気温は、ようやく過ごしやすくなってはきたけど、でもまだまだ汗ばむ。
短パンとTシャツ姿でも、こうやって少し走れば額に汗が滲んだ。
会場の外に出ると、人の密度は薄くなり多少動きやすくなった。
帰宅する人の波を目で追う。
でもやっぱり、圭はいない。
どこなの? 圭……。ああ、もう!
運動不足ってこういう時イヤになる。
すぐに息が上がって足が重くなるんだから!
あたしはすぐに疲れる自分にイライラしながら、短パンのポケットから携帯を取り出し圭に電話をかけた。
でも、ずっとコール音が鳴りっぱなし。
圭、どうして出ないの?
一旦電話を切り、もう一度電話を鳴らす。
何度も、何度も。
だけど、圭が電話に出ることはなかった。