小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


そして、何度目かの電話を鳴らした時、近くで着信音が聞こえた。


この着信音は……圭のだ。


あたしは携帯を鳴らし続けたまま、音の鳴る方へ足を進める。


星の形をした砂があることで有名な、“星砂の浜”の方から音が聞こえる。


会場のすぐに後ろにある砂浜へゆっくり向かうと、ひとり、ポツリと海を眺める圭の後ろ姿があった。


プツリと携帯を切る。


すると、圭の着信音も同時に途切れた。


ザク、ザク、ザク。


あたしが足を動かす度に、白い砂浜が鳴く。


夕方の海は、青とオレンジが混ざった芸術的な色をしていた。


「……圭?」


小さく呼んだあたしの声が、波の音にさらわれていく。


「圭、こんなところにいた……」


近づいて圭の隣に立つと、微かだけど、圭の嗚咽が聞こえた気がした。


顔に付けている鬼の面の下から、次々に雫が伝っている。


……泣いてるの?



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