小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「…………」
「それだけで、おばさんは幸せだと思うよ?」
また、圭の瞳に涙が溜まる。
「おばさん、女の子を産んであげられなかったんだよね?そのこと、すごく悔んでた。自分の体が弱くなければって」
「…………」
「おばさんにとっては、無事に生まれきてくれて、健康に育ってくれただけで、幸せだったんだよ」
「……っく」
「圭は、ちゃんと親孝行したんだよ」
言いながら、どんどん喉の奥が痛くなってくる。
圭が眉間にシワを寄せ泣くのを必死で堪えている姿を見て、あたしも呼吸を整えようと大きく息を吸う。
「だから……何にもしてやれなかったなんて、言わないで……」
ギュッと、力強く圭を抱きしめた。
あたしの全身に、圭の震えが伝わる。
優しく圭の背中を撫で、子供をあやすように頭をポンポンと撫でる。
圭が、あたしの肩に顔を埋めてきた。