小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
首筋に、圭の熱い息がかかる。
「……わかってる」
圭のかすれる声が、間近で聞こえ少しドキリとした。
「わかってるんだ、歌恋。……ありがとう」
身長の高い圭は、あたしの肩に顔を乗せるのが大変そうだ。
体勢がきついと思って体を離そうとしたら……。
「もうちょっと、このまま」
と、グイっと力を入れてあたしの肩に額を押しつけた。
「今日、母さんに見せたくてさ」
「だから、来てくれたんだね」
「直前まで悩んだんだけどな。最後まで練習に参加できなかった俺が舞台に上がっていいのかって……」
鼻声の圭が、少し口角を上げたのを肌で感じた。
「でも、これを母さんに見せないと、きっと母さんは安心して天国に行けないと思ってさ」
「……そうだね」
「俺……見えたんだよ。舞台の上から、母さんが……」
また、圭の声が涙ぐんだ。