小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
振り返ると、不満げに片方の眉を下げる良ちゃんがいた。
「僕無しで友情を深めようたって、そうはいかないよ」
良ちゃんが頬を膨らませると、圭がハっと声をもらして笑った。
「歌恋! 圭を見つけたら連絡するって言ってたじゃん!」
「ご、ごめん」
俯いて、Tシャツの裾をいじりながら小さくなる。
「あーあ、僕、ショックだな~」
嫌味に言った良ちゃんは、フラ~っと圭に近寄り、そしてガバッと勢いよく圭の首に絡みついた。
「心配させないでよ、圭! 学校は長い間休むし、急に消えるし!」
良ちゃんは圭の頭に拳をグリグリと押し付け、圭は痛そうにもがいている。
「圭、おかえり」
圭から体を離した良ちゃんが、急に真剣な表情で言った。
「待ってたぞ、相棒」
良ちゃんは微笑み、圭の前に拳を突き出した。
圭は一度良ちゃんの拳に目を向け、真っ赤に腫れた瞼を細めて、
「待たせたな、相棒」
コツンと、拳を合わせた。