小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
そっか。
みんな、知らないんだ。
ということは、文化祭当日にガジュマルの木を意識して見てる人はいないかもしれないってこと?
キセキ、起こるかもしれないよね。
「そのジンクス、まだあったのか」
突然、教室の前の入り口から、帰ったはずの圭の声がしてクルリと振り返った。
「圭? ビックリした~。どうしたの?」
あたしが聞くと、圭は両手をポケットに突っ込みながら教室に入ってきて、自分の机の中を覗き込んだ。
「あー、やっぱり忘れてたか」
圭が机の中から引っ張り出したのは、ブルーの携帯。
「家帰ったら見当たらなくて戻ってきたんだ」
「圭、携帯ないと死にそうだもんね」
良ちゃんがクスクスと笑う。
「そこまで依存してねぇよ」