小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
圭は素っ気なく言い、教室のドアまで歩いてからあたし達を振り返った。
「無駄話ばっかしてっと間に合わないぞ、それ」
あたし達の机の上に乗っている殆ど手つかずの招待状を、圭がクイッと顎で指した。
「じゃあな」
圭は後ろ向きで手を振り、教室を出ていく。
あたしは、圭の後ろ姿を見送ってから、大きくため息をついて机に伏せた。
ダメだ……圭とまともに話ができない。
今までずっと好きだったのに、どうして急にこんなになるんだろう。
どうやって圭と話してたっけ?
最近、怖いよ……。
この気持ちが大きくなりすぎて、いつか崩れるんじゃないかって。
圭に気づかれたら、きっともっと気まずくなる。
もしキセキが起これば、この気まずさは解消されて、圭と両想いになれる?
……って。
キセキは簡単に起こらないから“キセキ”なんだよね……。
あたしは、また大きなため息をついて頭をかいた。