小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
けれど、海はサッとデジカメを上に上げあたしをかわした。
「はいはい、歌恋。じゃれ合ってないで、圭を探してきてよ。どうせ、料理する気ないんでしょ?」
ジャガイモの皮をむき終わり、包丁で煮えやすい大きさに切っている良ちゃんが呆れた声で言った。
あたしは、少し膨れながら「は~い」とやる気のない返事をする。
エプロンを外し廊下に出て、圭を探す。
いつの間にいなくなったんだろう。
確かに一緒に家庭科室に入ったのに……。
「圭?」
ガラガラと教室のドアを開けたけど、そこはもぬけの殻。
どこに行ったの?
まさか、ひとりで先に帰ってたりしないよね。
あたしは教室の窓から駐輪場を見下ろした。
駐輪場の屋根でよく見えないけど、圭のバイクはまだあるみたいだ。
そのまま、窓から身を乗り出し辺りを見渡す。
けれど、どこにも圭の姿は見当たらない。
あたしは廊下に出て、廊下の窓からも下を見下ろした。
「……あ」