小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
校舎裏のベンチに前かがみになって座っている圭を発見。
階段を駆け下りて、校舎裏に回る。
カサカサと風に揺れる木々の葉の音で、圭はあたしの足音には気づいていないようだ。
圭の茶髪が、ふんわりと風に舞う。
最近、髪染めてないのかな。
根元の黒髪が少し伸びて来てる……。
「料理出来ないから、良久に追い出されたんだろ」
――ドクン。
ゆっくり体を起こした圭が、微笑みながらあたしに顔を向ける。
気づかれてないと思っていたから、一瞬心臓が止まりかけた。
「べ、別に、料理が出来ないわけじゃないもん。海とふざけてたから良ちゃんに追い出されただけだもん」
俯いてウエスト辺りで指をからめながら言うと、圭のハっと笑う声が聞こえ目だけを向けた。
「どっちにしろ、追い出されてんじゃん」
圭はベンチの背もたれに体重を預け、口元を手の甲で隠しクククと笑う。
あたしは口を尖らせて、圭の座るベンチに歩み寄りそっと腰かけた。