小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
家に帰って、部屋に閉じこもって自分と向き合ってみた。
あたしは、何の為に島を出て大学へ進むのか。
けれど、ひとりで悶々と考えてるだけで何一つ答えが出てこない。
ベッドの上で枕を抱きながらゴロンと横になる。
カーテンを閉めていない窓から、半月が見えた。
黒い雲が時々月にかかり、一瞬だけ暗くなりまたすぐに明るくなる。
『表情の違う空を見ることになる』
夏休み前のキャンプの時に、夜の浜辺で海が何気なく呟いた言葉が、ふと頭に浮かんだ。
もし圭がこの島に残ってお店を継ぐことを選択したら、圭とは違う表情の空を見ることになるんだよね。
でも、圭は医者になることを諦めたわけじゃないし、いつかは、また医者を目指して努力すると思う。
圭がどっちを選んだとしても、圭の描く将来に、あたしがいたらいいな……なんて、夢のようなことを思ったりして。
あ……。
「そうだっ!」