小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
「それでね、あたし、昨日島を出る理由を見つけたんだ」
あたしが言うと、良ちゃんが目を丸めてパっとあたしを見た。
「あたし、看護師になろうと思うの」
「…………」
良ちゃんは、少し間を開け“看護師?”と眉を潜める。
「あ! 圭にはまだ言わないでね。目指してる理由を聞かれたら、あたし、圭には絶対に答えられないから」
あたしはサッと鼻の前に人差し指を出して、「絶対に言わないで」と念を押す。
「でも……今からでも間に合うのかなって、かなり不安でさ」
「…………」
良ちゃんの表情を探り探り言うと、良ちゃんは一点を見つめボーっとしていた。
「……良ちゃん?」
名前を呼んでも、返事がない。
……え!? それは、不可能だと受け取れってこと?
あたしの頭じゃ今から本気出したって遅いって……?
良ちゃんが返事に戸惑うなんて……。