小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
良ちゃんは言ってから、ハっとしてあたしを少し振り返った。
「もしかして、ジンクス実行するつもり!?」
良ちゃんの大声がゴマ畑の道に響き、あたしは慌てて良ちゃんの肩を叩く。
「しーっ!!!!
もう! 良ちゃんのバカっ!!
誰か聞いてたらどうすんの?」
ジンクスを成功させるには天気も重要だけど、まずは目撃者を出さないことが大切なのに。
まぁ、この道にはあたし達3人しかいないから誰にも聞かれてないけれど、念には念をってヤツだ。
それに……
目の前にいる圭には、絶対に知られてはいけない。
「晴れてちゃいけないのに……」
「まぁ……僕はよかったけどね」
「えー?」
あたしは、良ちゃんの嫌味に口を尖らせる。
圭と良ちゃんの車輪の音が、ゴマ畑に切なく響く。
その切なさに気づかなかったのは、あたしだけだ。