小さな恋の虹〜キミと描く夢〜
文化祭当日の今日は、普段の登校の時間より少し早めに家庭科室に集合した。
体育館に集まる65人の卒業生を迎える為に、みんなで力を合わせて料理を作るんだ。
放課後に練習した甲斐があって、スムーズに作業が進む。
相変わらず不器用なあたしはみんなに心配されながら包丁を握ったけど、無事にジャガイモを剥き終わりポテトサラダの下準備は出来た。
「お! 歌恋、ちゃんと皮剥けたじゃん」
まな板でジャガイモを切るあたしを覗き込んで、良ちゃんがニッコリ笑った。
あたしも『もっと褒めて』とニッコリ笑う。
「……あ」
ふと、斜め前のテーブルで野菜を切っていた圭と目が合った。
けれど、なぜがフイっとすぐに逸らされてしまった。
……圭?
「うわっ! 歌恋!!
鍋、鍋!! 吹きこぼれてる!!」
「ぎゃぁっ!!」