小さな恋の虹〜キミと描く夢〜


よそ見をしているうちに、ジャガイモを茹でるお湯が沸騰して鍋から溢れてしまった。


火を消そうと伸ばした手が、同じタイミングで伸ばしてきた良ちゃんの手と重なる。


2人の手に、グツグツ湧いた熱いお湯が飛んできて、『あっつ!!』と、良ちゃんと同じ動きで耳たぶに手を持って行く。


それがおかしくて、あたしは耳たぶに手を当てる良ちゃんを指差してケラケラ笑った。


「おー、いいねー。
今の最高の写真が撮れたよ」


ほら。と、海が楽しそうにデジカメの画面を見せてくる。


火を消そうとジタバタしてる姿と爆笑する姿が撮られていて、それを見て、また良ちゃんと2人でお腹を抱えて笑う。


その時。


また、圭と目が合った。


笑い過ぎで目に溜まった涙を拭いながら圭を見ると、圭は不機嫌に家庭科室を出て行った。


「あっ! 圭!!」


慌てて圭を呼んだけど、圭は振り向きもしなかった。


……圭。

どうしたのかな……


なんか、朝から様子が変だけど。


何かあった……?




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